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インターネット上には多くの契約書ひな形が公開されています。しかし、ひな形をそのまま使ってしまい、後から「契約内容が実態と合っていなかった」「不利な条件になっていた」などのトラブルが発生するケースは少なくありません。本記事では、契約書ひな形をそのまま使うことが危険な理由と、トラブルを避けるためのポイントを行政書士の視点から解説します。


1. 契約書ひな形をそのまま使うのが危険な理由

契約書のひな形は便利ですが、リスクも伴います。注意すべき主な理由は次の3つです。


2. 理由1:実際の取引内容と一致していない

ひな形は「一般的なケース」を想定して作られた文書です。そのため、具体的な取引内容や条件と合わないことがよくあります。

(1)契約範囲が曖昧になる

  • どこまでが仕事の範囲か
  • 誰が何を提供するのか
  • 追加費用はどうするのか

こうした点が不明確だと、後から「これは契約に含まれていない」とトラブルになります。

(2)業種によって必要条項が異なる

例えば、IT開発・建設業・コンサル業・物品販売など、業種によって契約の注意点が大きく違います。ひな形では重要な条文が抜けている可能性があります。


3. 理由2:法改正に対応していない可能性がある

インターネット上のひな形の多くは更新されておらず、法改正に追いついていないものもあります。

(1)個人情報保護法の改正に未対応

最近は個人情報保護法の改正が続いているため、古いひな形ではリスクが高くなります。

(2)消費者契約法や下請法に抵触する可能性

契約条項が法律に反している場合、契約自体が無効となるケースがあります。


4. 理由3:トラブル発生時の対応が弱い

ひな形契約書は「最低限の内容」のため、トラブル発生時の対処条項が十分ではありません。

(1)損害賠償の範囲が曖昧

・どこまで損害賠償を負うのか
・責任の範囲は誰が決めるのか

これらが曖昧なまま契約すると、紛争時に不利になることがあります。

(2)契約解除条項が弱い

解除条件が曖昧だと、契約を終了したくても終了できず、長期トラブルに発展するケースがあります。


5. トラブルを避けるためのポイント

契約書を安全に使うためには、以下の点を意識することが大切です。

(1)実際の取引内容を具体的に書く

ひな形に合わせるのではなく、取引実態に合わせて条文を調整する必要があります。

(2)最新の法令に対応しているか確認する

行政書士など専門家にチェックしてもらうと安心です。

(3)トラブル時の対応条項を必ず盛り込む

損害賠償、契約解除、再委託の可否など、重要な項目は必ず調整します。


まとめ

契約書のひな形は便利な一方、そのまま使用するとトラブルの原因になることがあります。特に、取引内容との不一致や法改正への未対応、不十分なトラブル対策が大きなリスクです。

安全に取引を進めるためには、個別事情に応じて契約書を調整し、必要に応じて専門家に確認してもらうことをおすすめします。