【導入文】

行政や公的機関へ意見を伝える際に使われる文書として「嘆願書」「請願書」「陳情書」があります。しかし、それぞれの目的や提出先、書き方のルールが異なるため、正しく使い分けることが大切です。本記事では、3つの文書の違いと、実際の書き方を行政書士の視点でわかりやすく解説します。


1. 嘆願書とは?

嘆願書とは、特定の個人や団体に対し、情状酌量や特別な配慮をお願いする文書 です。

(1)特徴

  • 個別の事情を訴える文書
  • 感情的な要素も一定程度認められる
  • 裁判所・学校・企業などに提出されることが多い

(2)主な提出先と場面

  • 裁判所(刑事事件の情状酌量を求める場合)
  • 学校(処分軽減を求める場合)
  • 企業(社員処分の寛大な措置を求める場合)

2. 請願書とは?

請願書とは、国や地方公共団体に対し、政策や行政措置を求める正式な請求文書 です。

(1)特徴

  • 憲法で保障された制度
  • 国会・地方議会に提出する正式文書
  • 請願には「紹介議員」が必要(国会は必須)

(2)主な提出先

  • 国会
  • 県議会・市議会

(3)利用される場面

  • 法律・制度の改善を求める
  • 公共事業の実施や改善を求める
  • 行政サービスの改善を求める

3. 陳情書とは?

陳情書とは、行政機関や自治体に対し、要望や意見を伝えるための文書 です。

(1)特徴

  • 請願書よりも柔らかい文書
  • 誰でも提出可能
  • 紹介議員がいらない(多くの自治体で不要)

(2)提出先

  • 市役所
  • 町村議会
  • 行政機関全般

(3)よく利用される場面

  • 地域の環境改善
  • 公共施設の整備要望
  • 地域行事の支援要望

4. 3つの文書の違いを比較

(1)目的と提出先の違い

文書名主な目的提出先特徴
嘆願書個別事情への配慮・減刑など裁判所/学校/企業など個人の情状を訴える
請願書政策提案・行政措置の要求国会/地方議会最も正式、紹介議員が必要
陳情書行政への要望・意見役所/自治体/行政機関気軽に提出できる

5. 書き方の基本(3文書共通)

(1)タイトルを明確にする

「嘆願書」「請願書」「陳情書」と明記します。

(2)提出先を正確に書く

例:

  • 〇〇市長 様
  • 〇〇地方裁判所 御中

(3)内容は簡潔かつ事実ベースで書く

  • 何を
  • なぜ
  • どうしてほしいのか

を明確に記載します。

(4)署名・住所・連絡先を記載

請願書では署名人数が重視されることがあります。


6. 嘆願書の書き方ポイント

  • 事情を時系列で整理
  • 第三者の視点でも理解できる内容に
  • 感情的になりすぎない

例:
家族の状況、本人の反省、再発防止の努力などを記載。


7. 請願書の書き方ポイント

  • 社会的意義を明確にする
  • 説得力のある資料を添付
  • 多くの署名を集めると効果的

8. 陳情書の書き方ポイント

  • 地域住民としての立場から要望を書く
  • 改善すると住民にどんな利益があるか示す
  • 短くまとめると読みやすい

まとめ

嘆願書・請願書・陳情書はすべて“意見を伝える文書”ですが、目的や提出先、形式が異なります。文書の特徴を理解し、訴えたい内容に合った形式を選ぶことで、行政や機関に対してより効果的に要望を伝えることができます。正確な文書を作成したい場合は、行政書士に相談して確認してもらうと安心です。